METAR の読み方
METAR(定時飛行場実況気象)は、決まった順番で群が並ぶ電文です。順番と各群の書き方を知っていれば、どの空港の METAR も同じように読めます。 下の欄に METAR を貼り付けると、群ごとに意味を表示します。最初は気象庁の通報例を入れてあります。
解読してみる
通報例:
通報例は気象庁「航空気象通報式」の各種通報例から引用(日付・時刻は例示)。 実際の METAR は METAR/TAF 地図 の各空港のポップアップからコピーできます。
群の順番
本文はこの順で並びます。当てはまらない群は省かれます。
| 順 | 群 | 例 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1 | 種類 | METAR/SPECI | 定時観測か、天気が変わったときの特別観測か。訂正報は COR、欠測報は NIL |
| 2 | 地点 | RJTT | ICAO の4文字地点略号 |
| 3 | 観測日時 | 300000Z | 日・時・分(UTC)。日本時間は+9時間 |
| 4 | 自動観測 | AUTO | 完全な自動観測のとき |
| 5 | 風 | 31015G27KT 280V350 | 風向(真方位)・風速・最大瞬間風速、風向の変動 |
| 6 | 視程 | 1500 | 卓越視程(m)。条件がそろえば視程〜雲の代わりに CAVOK |
| 7 | RVR | R34L/0600VP1800U | 滑走路視距離 |
| 8 | 現在天気 | BR | 天気略語(最大3群) |
| 9 | 雲 | SCT003 BKN006 | 雲量と雲底の高さ、CB・TCU。または鉛直視程・NSC・NCD |
| 10 | 気温/露点 | 02/01 | ℃。マイナスは M |
| 11 | QNH | Q1000 | hPa |
| 12 | ウィンドシアー | WS R34R | 低層ウィンドシアー |
| 13 | 着陸用飛行場予報 | NOSIG/BECMG/TEMPO | TREND(予報を発表する空港のみ) |
| 14 | 国内記事 | RMK … | 雲形、QNH(inHg)、方向視程、航空機からの報告など |
風
31015KT:風向 310°・風速 15kt。風向は真方位で 10°単位、観測時前 10 分間の平均ですG27:最大瞬間風速。平均を 10kt 以上上回る瞬間風速があったときだけ付きます280V350:風向の変動。平均風速が 3kt 以上で、変動幅が 60°以上 180°未満のとき、両端を時計回りに書きますVRB:風向不定。平均風速 3kt 未満で風向が定まらないとき、または変動幅が 180°以上で一つの風向を決められないとき00000KTは静穏、P99は 100kt 以上、/////KTは欠測
METAR の風向は真方位です。管制塔や ATIS で伝えられる離着陸用の風(場内報)は磁方位なので、同じ風でも数字が違います(AIP GEN 1.7・GEN 2.1)。
視程・RVR
視程
- 4桁の m。5,000m までは 100m 刻み、10km 未満は 1,000m 刻み、10km 以上は
9999 - 1,000m 未満は 0 を前に付けて
0800。間の値は低い方に丸めます - 有人観測では卓越視程。AUTO では装置で測った 1 分間平均
- 方向によって大きく違うときは、国内記事に方向視程(
0600SE-SWなど)が入ります
RVR(滑走路視距離)
R34L/0600:滑走路 34L の RVR が 600m(10 分間平均)。視程か RVR が 1,500m 以下などのときに付きますP1800は測定上限超、M0050は下限未満- 末尾の
U=上昇傾向、D=下降傾向、N=変化なし 0600V1800のように V があるときは、大きく変動していて 1 分間平均の最小と最大を並べています
RVR の詳しい報じられ方は、ブログの RVR の解説記事にまとめています。
現在天気
強度・周辺現象 + 特性 + 現象の順に、2文字ずつの略語を詰めて書きます。
-SHRA=弱い(-)しゅう雨性(SH)の雨(RA)+TSRA=雷電(TS)+強い(+)雨(RA)。強度は降水にかかりますBCFG=散在する霧、VCSH=飛行場周辺(標点から概ね 8〜16km)の降水- 最大3群。降水と霧のように種類が違う現象は別の群(
-DZ FG) BR(もや)は視程 1,000〜5,000m、FG(霧)は 1,000m 未満で使い分けます
全部の略語と決まりは 天気略語表 で引けます。
雲・CAVOK
FEW1〜2/8、SCT3〜4/8、BKN5〜7/8、OVC8/8。続く3桁が雲底の高さで 100ft 単位(003=300ft)- 低い順に最大3群:1群目は雲量に関係なく最も低い雲、2群目は SCT 以上、3群目は BKN 以上。CB・TCU があれば 4 群目に付けられます
- 雲形は積乱雲
CBと塔状積雲TCUだけ本文に書きます。ほかの雲形は国内記事へ VV002:天空不明で鉛直視程 200ftNSC:5,000ft(または最低扇形別高度の最大値の高い方)より下に雲がなく CB・TCU もないが、CAVOK にならないとき。NCDは AUTO で雲が検知されないとき
CAVOK
次の3つが同時に成り立つとき、視程・RVR・現在天気・雲の群の代わりに CAVOK と書きます(AUTO では使いません)。
- 視程 10km 以上
- 5,000ft(または最低扇形別高度の最大値の高い方)より下に雲がなく、CB・TCU もない
- 天気略語に当たる現象がない
CAVOK でも 5,000ft より上には雲があり得ます。国内記事には、10,000ft 未満にある 5/8 以上の最低の雲が書かれます。
気温・QNH・ウィンドシアー
02/01:気温 2℃・露点 1℃。1℃単位に丸め、0℃未満はM(M03=−3℃、M00=−0.5℃ など)Q1000:QNH 1000hPa(小数点以下切り捨て)。inHg は国内記事のA2954(29.54inHg)WS R34R:観測時前 30 分以内に、滑走路面と上空 1,600ft の間の離陸路・進入路で低層ウィンドシアー。全滑走路ならWS ALL RWY
着陸用飛行場予報(TREND)
一部の空港では、METAR の後ろに観測時から 2 時間の予報が付きます。
NOSIG:重要な変化は予想されないBECMG:変化して新しい状態になる。TEMPO:一時的にそうなる(1回 1 時間未満、合計で期間の半分未満)- 時刻は
FM(から)・TL(まで)・AT(に)+ 4桁の UTC - 変化する要素だけを書きます。雲が変わるときは、変わらない雲も含めてすべて書きます。天気が終わるなら
NSW
国内記事(RMK)
RMK から後ろは国内記事で、日本独自の補足が入ります。
- 雲形付きの雲:
3ST003=3/8 の層雲・雲底 300ft。雲量は 8分雲量の数字、雲形は AC・AS・NS・SC・ST・CU・CB・TCU - QNH(inHg):
A2954 - 方向視程:
0600SE-SW=南東〜南西の視程 600m - 航空機からの報告:
SEV ICE 2000FT KISARAZU、MOD TURBなど - 視界内(約 20km 以内)の現象:
CB 5KM S MOV SE、HVY TS 10KM S MOV NW、FG BANK S-W。頭上はOHD - 気圧の急変:
P/FR(急下降)・P/RR(急上昇)。30 分間に 1hPa を超える変化 - 降雨強度:AUTO で 3mm/h 以上なら
RI014(14mm/h)、有人観測で 30mm/h 以上ならRI++ - 積雪:
SD025/000=積雪 25cm、1時間前との差 0cm
AUTO(自動観測)の違い
- 観測できない要素は斜線(視程
////、天気//、雲///・//////) CAVOKと鉛直視程は使わず、雲がなければNCD、5,000ft 未満に雲がなければNSC- 現在天気は自動観測用の表(RA・SN・BR・FG・HZ・SQ・TS・UP など)から。
UPは種類が識別できない降水 - CB・TCU を検知したときは雲量・雲底を斜線にして
//////CB - 雷電・CB の情報が出せないときは国内記事に
TSNO・TSCBNO
読むときの注意
- 時刻はすべて UTC。日本時間は+9時間で、UTC の 15:00 以降は日本時間では翌日です
- 雲底は 100ft 単位の地上からの高さ、視程と RVR は m、風速は kt と単位が混在しています
- 在日米軍の飛行場(三沢・横田・嘉手納など)の METAR は、視程を SM(法定マイル)、QNH を本文の A(inHg)で書くなど形式が一部違います。このページでは SM の視程と A の値までは読みますが、記事(AO2・SLP など)は解読しません
- 気象庁の通報式の METAR には、ICAO の様式にある「最近の天気(RE…)」の群は含まれていません
出典:気象庁「航空気象通報式 第3版」(定時飛行場実況気象通報式・着陸用飛行場予報気象通報式・国内記事・各種通報例・識別語及び符号の定義)、AIP Japan GEN 3.5 別添5。AIM-JAPAN 第8章(気象庁監修)の記載と照合しています。 説明は NOTAM Map Japan が独自にまとめたもので、参考情報です。運航判断は必ず公式の情報源で確認してください。