NOTAM の読み方
NOTAM は書式が国際的に決まっているので、各行が何を表すかを知っていれば、どの NOTAM も同じ順番で読めます。 ここでは実際に発行された NOTAM を例に、1行ずつ読み解きます。
実例:松本市の花火(2026年9月)
ひとことで言うと「9月19日〜20日の決まった時間に、松本市の半径 75m で、地表から 886ft(地上高)まで花火が上がる」という NOTAM です。以下、番号順に見ていきます。
① ヘッダー / ② NOTAM 番号と種類
① 発出日時と発信元
170454 は発出した日時(UTC)で、17日 04時54分。RJAAYNYX は発信元で、日本の NOTAM は国土交通省の航空情報センターから出ます。
② NOTAM 番号
N3431/26 は「シリーズ N の 2026 年 3431 番」。番号は年ごとに 0001 から振り直されます。
先頭の英字(シリーズ)は発行する担当や内容の区分で、NOTAM を探すときに番号と一緒に使います。
NOTAMN・NOTAMR・NOTAMC
| 種類 | 意味 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| NOTAMN | 新しい NOTAM | N3431/26 NOTAMN |
| NOTAMR | 前の NOTAM を置き換える。後ろに置き換え元の番号が付く | N3500/26 NOTAMR N3431/26 |
| NOTAMC | 前の NOTAM を取り消す。後ろに取り消す番号が付く | N3510/26 NOTAMC N3431/26 |
③ Q 行(クオリファイア)
Q 行は NOTAM を機械的に分類・検索するための見出しです。/ で区切られた 8 つの項目からなります。
| 項目 | この例 | 読み方 |
|---|---|---|
| FIR | RJJJ | 関係する飛行情報区。RJJJ は福岡 FIR(日本全体)。複数の FIR にまたがるときは国の記号+XX になります |
| NOTAM コード | QWHLW | Q の後の 2・3 文字目が主題、4・5 文字目が状態。WH=発破(日本の花火はこのコード)、LW=実施予定。
主題に当てはまるコードが無いときは QXXXX、状態が無いときは後半が XX になります。
→ NOTAM コード検索 |
| 交通 | IV | I=IFR、V=VFR、IV=両方に関係 |
| 目的 | M |
N=運航者がすぐ注意すべきもの、B=飛行前の情報(PIB)に載せるもの、
O=運航に関係するもの、M=その他。NBO のように組み合わせて使います |
| 範囲 | AW | A=飛行場、E=航空路、W=航行警報。組み合わせ(AE・AW)もあり、A を含むときは A 項に飛行場が入ります |
| 下限/上限 | 000/009 | 高度を100ft 単位(フライトレベル相当)で表したもの。009=900ft。高度に関係しない NOTAM は 000/999 |
| 中心と半径 | 3612N13756E001 | 北緯 36°12′・東経 137°56′ を中心に半径 1NM。座標は度・分まで、半径は NM の整数なので、あくまで目安です |
④ A 項(場所)
NOTAM の対象がある飛行場、または FIR の地点略号です。この例の RJAF は松本空港。
花火やドローンのように空港の外の出来事でも、最寄りの空港の略号で出ることがよくあります。
国内向けの NOTAM では、飛行場に関係しないものを分けるために次の略号も使われます(国際向けでは RJJJ)。
| 略号 | 内容 |
|---|---|
| RJTD | 火山・花火・気球・グライダー・落下傘降下・不発弾処理・模型飛行など、飛行に影響するもの(飛行場に関係するものを除く) |
| RJDR | 無人航空機(飛行場に関係するものを除く) |
| ROBL | 航空障害灯・昼間障害標識(飛行場に関係するものを除く) |
| RJJW〜RJJZ | 交通流制御(W=予備、X=空港・セクター、Y=航空路、Z=FIR 間) |
⑤ B 項・C 項(有効期間)
B)2609190400 が始まり、C)2609200505 が終わり。年月日時分の 10 桁、時刻は UTC です。
| UTC | 日本時間(JST=UTC+9時間) | |
|---|---|---|
| B)始まり | 2026/09/19 04:00 | 2026/09/19 13:00 |
| C)終わり | 2026/09/20 05:05 | 2026/09/20 14:05 |
PERM(C 項)… 恒久的な情報。AIP に反映されるまでの周知などで使われますEST(C 項の日時の後ろ)… 終わりが見込みの時刻。延長・短縮の NOTAM が出ることがあります- NOTAMC には C 項がありません
⑥ D 項(実施する時間帯)
B〜C の期間中、ずっとではなく決まった時間だけ実施するときに付きます。時刻はやはり UTC です。
この例は「19日 の 0400〜0405、0800〜0805、1000〜1005、1100〜1200 と、20日 の 0000〜0005、0300〜0305、0500〜0505」。
行の途中で改行されて 20 が行末に来ていますが、これは次の行の時刻にかかる日付です。日本時間に直すと次のとおりです。
| 日(JST) | 時間帯(JST) |
|---|---|
| 9月19日 | 13:00–13:05 / 17:00–17:05 / 19:00–19:05 / 20:00–21:00 |
| 9月20日 | 09:00–09:05 / 12:00–12:05 / 14:00–14:05 |
ほかに、毎日同じ時間なら 0000/0700、日出・日没なら SR・SS、日中なら HJ のように書かれます。
⑦ E 項(本文)
NOTAM の中身です。略語を使った英文で書かれ、判断に必要なことは最終的にここに書いてあります。
この例では、PLACE: RADIUS 75M CENTER 361143N1375626E が「中心 北緯36°11′43″ 東経137°56′26″、半径75m」、
(MATSUMOTO-SHI IN NAGANO) が場所の市町村名です。
座標の書き方は 361143N=北緯36度11分43秒、1375626E=東経137度56分26秒(度・分・秒を詰めて書く)。
区域が多角形のときは 座標 - 座標 - 座標 のように頂点を並べ、円のときは RADIUS と中心で書かれます。
よく出る略語の例:CLSD 閉鎖 / U/S 使用不能 / WIP 作業中 / OBST 障害物 / LGT 灯火 /
PSN 位置 / ELEV 標高 / AMSL 平均海面上 / AGL 地上高 / BTN 間 / WI 以内 / FM 〜から / TIL 〜まで
⑧ F 項・G 項(高度の下限・上限)
空域を使う NOTAM で、高さの範囲を表します。この例は F)GND(地表)から G)886FT AGL(地上 886ft)まで。
GND・SFC… 地表AGL… 地上からの高さ、AMSL… 平均海面からの高さFL120… フライトレベル(標準気圧面の高度、100ft 単位)UNL… 上限なし
000/009)は 100ft 単位の目安で、AGL と AMSL の区別もありません。正確な高さは F・G 項で読みます。このサイトでの見え方
- ポップアップや一覧の有効時間は UTC で表示しています(「(UTC)」と明記)。画面上部の「今日」「明日」は日本時間の1日です
- 地図の形は、E 項に座標があればそれで、無ければ Q 行の中心と半径で描きます。Q 行で描いた形は破線になり、ポップアップに「概略です」と表示されます
- 座標が書かれていない NOTAM(流量管理など)は、一覧に「地図表示なし」として出ます
- NOTAM コードの意味は NOTAM コード検索 で引けます
書式の説明は ICAO の NOTAM 書式と AIM-JAPAN 第11章の記載をもとに、NOTAM Map Japan が独自にまとめたものです。参考情報として利用し、運航判断は必ず公式の情報源で確認してください。